「これじゃ物足りないんじゃない。」 そう言ってから綾那は、一度中指を抜いてから人差し指を添えて二本の指を夕歩の中に入れた。 「っ!!やっ!う、あっ」 普段だって大声を出さない夕歩が、大きく喘ぎ声をあげた。 夕歩の中は綾那の指をもっと奥へと誘うように強く締め付けた。 ゆっくりと根元まで指を入れた。 「い、…っ、ぁ」 達したばかりの敏感なところで、指を入れられて軽くいきかけた。 膣内の異物感。 中に入れられているそれは、いつも自分に優しく触れる綾那の指なのだと思うと余計に感じてしまう。 濡れていたために抵抗なく綾那の指は入ったが、それでもそこは異物の侵入を受け入れるのは初めて。 痛い、と言えばきっと綾那は優しくしてくれる。 しかし、そうしたら今、痛みとともに自分の体を震わす快感も失ってしまうことを思うと、痛いと口にするのはためらわれた。 むしろ、痛みを伴う快感に夕歩は溺れていた。 このまま綾那の指で中を抉られたなら、どれほど気持ちいいだろう。 そう想像するだけでも、いってしまいそうだ。 「あ、やな…」 夕歩が綾那の袖をつかんだ。 「っ はぁ 、ぁ … 」 「ん?」 激しい呼吸音に混ざってかすれかすれに呟かれた夕歩の言葉を、綾那はよく聞き取れなかった。 綾那が聞き返すと襟をつかまれて、強引に引き寄せられた。 綾那の体が夕歩の体の上にぶつかる様に落ちた。 心配になるほど熱い夕歩の手が綾那の顔に触れる。 額の触れあう距離まで綾那を近づけてから、夕歩は目を閉じた。 激しい呼吸に合わせて夕歩の胸が上下するのを重ねた自分の胸で感じながら、夕歩の言葉を待った。 「んっ はぁ… 、 」 「……」 「…聞こえた?」 夕歩がだるそうに目を開けた。 夕歩の前髪と綾那の黒の前髪が混ざる。 綾那は黙ったままなので、夕歩の喘ぎ声混じりの呼吸音がよく聞こえた。 「返、事は?」 「あっ、はい。……」 分かったと引き受けたものの、涙で潤んだ夕歩の目を見たらなんとなく踏みとどまってしまう。 「早く…お願い…」 そんな綾那の心を見透かしたように、夕歩が急かした。 これが、さっきまでならきっと踏みとどまっただろう。 けれでも、今はもう知ってしまっている。 限界を超えた彼女を。 その声を、表情を、その香りを。 その全てが自分の理性を引き剥がして行く感覚を。 肉体が絶頂を迎えたその人を前に、精神的に達してしまう感覚を。 そこに来て、お願いと言われて揺れる思考は振り切れた。 なにも受け入れたことのないそこに、綾那は激しく指を突き立てた。 「いっ!!!――…っ!!」 夕歩は声にもならない声をあげた。 今さっき綾那の指を受け入れるのでさえやっとのそこに。 中をみちみちと押し広げられる。 暴力的な勢いで中を掻き乱され表情が歪む。 「あ、やな…痛い…っ」 けれども綾那は勢いを一切緩めることなく夕歩を攻め続けた。 夕歩からあふれる液体が綾那の手首まで滴るほどに、濡れている。 散々欲情させられた自分のそこも、きっと同じようになっているんだろう。 いつか立場が逆転して、自分が夕歩に攻め立てられることを思うと、それだけで体が疼いた。 そんな煩悩を振り払うように、激しく夕歩を突き上げた。 「大丈夫。すぐ終わらせるから。すぐよくなる。」 もし、ここでもう一度夕歩が痛いと言ったら綾那の手は止まったかもしれない。 しかし、実際夕歩も意識の飛びそうになる痛みと同時に、暴力的に中の肉壁を擦られる快感に身を震わせる自分を分かっていた。 気持ちいいのだ。 そしてその先にある最高の快感を自分は求めている。 「んっ!あぁ…」 綾那がくれるなら、痛みでも何でも構わなかった。 優しさでも痛みでも快感でもいい、綾那に乱されたい。 「あっ…は、ぁっ!」 綾那に突き上げられる度に、激しく声が漏れた。 痛みのせいか快感のせいか分からない涙が両目から零れる。 「っ…!ん…っ…」 突き上げられる度に押し寄せる痛みと快感に耐える夕歩の手が、綾那の服をきつく握りしめる。 握りしめたのが服だけなら良かったのだが、綾那の体というか肩の皮膚ごと握った。 けれども、乱れる夕歩を見たらそんなことはどうでもよくなってしまう。 痛いのか気持ちいいのか分からないけれど、あと少しで思いを遂げそうな夕歩の、そのあと少しを埋めてあげたくて。 綾那は夕歩の鎖骨に噛みついた。 「ふあっ…ぁ」 痛みであれ、快感であれ綾那のくれるもの全て、綾那の触れる場所全てが夕歩が絶頂に達するのに十分だった。 綾那に突き上げられるそこから、全身が快感に支配される。 「ぁ、っあ…やな…っ」 ああ、くるって思うのに合わせたかのように突き上げられた瞬間、白く稲光を見たように視界が白んだ。 「…っぁ!!ぁああ――――っ」 夕歩の口から出た声なのかと疑うような喘ぎ声をあげて、夕歩の体が仰け反る。 同時に綾那の肩を強くつかんだ。 夕歩を想う綾那には、そんな痛みはどうでもいいことだけれど。 ビクビクと夕歩の中が締まるのを指で感じた。 服ごと綾那をつかんだ夕歩の手が布団の上に落ちた。 苦しそうに息をして、ぐったりとしている。 手を止めて、綾那はベッドの柱に寄りかかった。 夕歩の目からこぼれた涙の筋を、指でなぞって拭ってあげた。 夕歩の長い睫毛が小さく震える。 「手…」 さっきまでの喘ぎ声が嘘のような、小さな小さな声で夕歩が囁いた。 手、と言われて綾那は夕歩の顔に触れる、涙を拭う手を反射的に離した。 「そっちじゃないよ。抜いて…」 抜いてといわれて、ようやく何のことか察知した綾那は、夕歩の中に入れた指を抜いた。 綾那が指を抜くと、夕歩は足を閉じてゆっくりと寝返りを打った。 寝返りを打った先にある、綾那の膝の上に夕歩は頭を横向きにのせた。 「なんだか今日はよく甘えるね。」 「別にいいでしょ…」 綾那は夕歩の頭を撫でた。 乱れた呼吸がおさまるまで、夕歩はじっとしていた。 それから少しして綾那の顔を見上げようとした夕歩の目は、綾那の胸元で止まった。 夕歩が綾那の胸元に触れた。 「んっ…な、何?」 服の上から触られたとはいえ、布一枚隔てた先には生身の体があるわけで、いきなり触れられて綾那は反射的に身構えた。 「ここ、ボタン取れてるね。」 夕歩が触れたのは本来第三ボタンのあるべきところ。 ボタンはなく、ほつれた糸が残っているそこを、夕歩の指が触れた。 「ああ、これはさっき……ね…」 さっき夕歩が大声で喘ぎ声あげながら、服をつかんだ時に…なんて言ったら怒られるんだろうなと綾那は曖昧に誤魔化した。 その間も夕歩は綾那の胸元から手を離さずに、ほつれた糸を指先でつついていじっていた。 「っん…もう、いいでしょ…」 布を隔てた向こうの綾那の体はその感覚を敏感に感じ取ってしまい、夕歩の手をつかんで体から離した。 「……」 「何?」 と、突然夕歩は綾那につかまれたのとは逆の手で、第三ボタンまではだけた綾那の胸元に手を伸ばした。 今度は、服の上からではなくいきなり直に触れた。 「ぅあっ、…ちょ、やめ…っ」 慌てて綾那が逆の手でまた夕歩の手をつかんで、引き離した。 「綾那も随分敏感だね。」 夕歩は小さく楽しそうに笑った。 綾那”も”といったところ辺り、さっきまでの自分の状況を分かっているようだ。 綾那は夕歩の手を離した。 不意に、夕歩が綾那の膝の上で頭の向きを変えて寝返りを打つ。 こんな風に膝の上にのせた頭を動かされるのにも、随分敏感な綾那の神経細胞は反応してしまう。 夕歩はベッドの上に手を伸ばした。 「あったよ。ほら。」 夕歩は布団の上に転がっていたそれを拾って綾那に見せた。 「私が綾那の服つかんだ時に取れちゃったのかな。ごめんね。明日つけてあげるよ。」 「あぁ、ありがとう。」 夕歩は綾那の体にしがみつきながら、ゆっくりと上半身を起こした。 「ねぇ、シャワー浴びに行こうよ。」 早くも夕歩はベッドを抜け出して服を着始めた。 「そうだね。」 綾那もゆっくりと、ベッドから抜け出した。 |
END
夕歩の台詞の抜けてる部分には、皆さん思い思いの好きな言葉を入れてお楽しみ下さい。
試せ!妄想力w
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