強くなければ…


―強くなければ、生きて行けない。優しくなければ生きている資格はない。―

この言葉、どこで知ったんだっけ。

ああ、そうだ。

順が言ってたんだ。
順と綾那が話してる時に、順がいい言葉だよねって、綾那に言ってたんだ。私のことを姫と呼んで、病気の私のことを心配する彼女らしいと思う。
でも、でも…私には
いい言葉に思えなくて私は生きて行けそうにない。
強くなんかないから。
病気で、毎日をこうしてベッドで過ごしているだけの私には、順とは違う意味で、心に響く言葉。


いい言葉なんかじゃない。


誰かも言ってた気がする。

そうだ、綾那だ。

人間は良くも悪くも、強さや優しさに関係なく、生きていけるものなんだって、そう言ってた。

綾那らしい。

人はそうやって生きていくものなんだろうね。


END

冒頭は、レイモンド・チャンドラーの小説の名台詞です。


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