真夜中の計画―2―  




「ふあ…ぁ、ん」

順を求めるが如く、夕歩の中は順の指を締めつけていた。
順はもちろん夕歩が自分の指を締めつけるのを感じ取っていた。

「そんなに気持ち良い?」

順は夕歩の耳元で呟いた。
そしてゆっくりと耳を舐めた。
背筋を快感が駆け抜け、順の腕の中で夕歩の身体が大きく跳ねた。

「や、ぁあ…んっ!」

逃れようと夕歩が首を振ったのを追いかけて、順は夕歩の耳を舐めた。
それと同時に順の指が一層強く締めつけられた。
夕歩はやたらと耳が弱かった。

「ひゃ、っぁ…ああ!」

順が刺激を与えるたびに、夕歩の口からは喘ぎ声が漏れた。
唇をきつく引き結んでいたのにもかかわらず、もう抑えようがなかった。

「じゃあもう一本、指増やしてみる?」

そう言うと、順はこれまで夕歩の中に入れていた指を一度引き抜いた。
ぬるりとした感覚が、夕歩に快感を与え、夕歩の身体が強張った。

「っぁあ…」
「夕歩…力抜いてね。」

順は夕歩の中に指を入れた。

「っひあ、っ…ぁ!」

一本指を増やしただけだが、随分ときついように感じられた。
しかし、快感を求め彷徨う夕歩の身体は、順の指をゆっくりと飲み込んでいく。
今度は痛いくらいに順の指は締めつけられた。

「じゅ、ん…っぁ、お願い…、…私…も、もう…」

喘ぎ声とともに自分を求める夕歩の声に、順は心臓がどくんと大きく高鳴るのを感じた。
しかし、順は夕歩の言葉には応じなかった。
相変わらず指を入れたまま動かすことはなかった。

「あっ、…はぁ」

何をされるでもなく、順の指が自分の中に入れられているというだけで、夕歩の身体は快感に震えた。
先ほどよりも指が一本増やされたために、中に何か入れられている感覚がより強くなった。
その時、快感の余り夕歩の目から涙がこぼれたのを、順は指で掬ってあげた。

「っひ、ぁ…」

夕歩の口からは、もはや喘ぎ声とも泣き声とも言えないような声が聞こえた。
涙を救うのに指が頬に触れただけで、夕歩の中は動いた。
どうやら本当に限界が近いようだ。
でもまだまだ、解放などしてやらない。

「ん、やっ、あぁ…」

今夕歩を泣かせているのは自分なのだということが、順をより興奮させた。
夕歩の脇腹の上にするりと手を滑らせると、夕歩は体を仰け反らせた。
上を向いたせいで、夕歩の涙は耳の方へと流れて行った。
その涙の筋をなぞるように、涙を舐めて行った。

「うぁっ!ん…っ」

ああ、そうだ。耳が弱かったんだ。
そのまま、順は夕歩の耳が溶けていきそうになるくらい舐め続けた。
その間、快感に溺れる夕歩の顔を見ていられないのを、順は少し残念に思った。

「っう、や…あ、だめ…」

順が耳を舐めるピチャリという水音が聞こえる。
それだけではなく少し乱れた順の吐息までもが、夕歩の耳元で木霊した。

「ん、あっ…夕、歩…」

さらには耳を舐めながら、吐息交じりの声で愛しい人に自分の名を呼ばれ、その声の響きが夕歩を震わせたかのようにの腰がびくんと跳ねた。
そのせいで途中までしか入ってなかった順の指が、夕歩の中へ奥深く入り込んでしまった。

「っ!ひ…いたっ…あっ、ぁ!」

夕歩の中は勿論、順の手も長い行為のおかげで夕歩から溢れた液体で十分に濡れていた。
そのため夕歩の腰が跳ねただけで順の指が抵抗なく奥まで入ってしまったが、さすがに痛かったようである。

「夕歩…」

どうしよう。
一度指を抜こうか?
これまでは夕歩が痛くなるようなことをする前に、夕歩は絶頂を迎えていた。
こんな選択を迫られることがなかった。

「ふぁっ…ん、ぅ…」

しかし普段夕歩がすぐに絶頂を迎えてしまうからこそ、今こんなふうに恍惚とした表情を浮かべ熱を帯びた声で喘ぐ夕歩を見ていられるのは貴重なことなのである。
夕歩は相変わらず舐められている耳からの刺激に喘いでいる。

「っん、あ…うっ!」

夕歩の手が順の肩を強くつかんだ。
別に夕歩に痛い思いをさせたいわけではない。
でもこんな風になっている夕歩を見ていたいから焦らしているのに、ここで引いてしまっては意味がない様な気がした。

順がそうこう迷っているうちに、夕歩の中が順の指を締めつける力が徐々に増してきていた。
このままでは耳を舐めているだけで、夕歩が果ててしまいそうだと感じた順は、顔を上げて耳を舐めるのを止めた。
それから、順の指を締めつける力も徐々に緩んで行った。

(つづく)



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