予想外の連続〜another story〜



現実というものは、いつでも予想外の連続。
未来の予知など、誰にもできやしない。

夕歩から財布を渡されて、いそいそと自販機へと向かった久我順は、廊下の先に人影を見つけた。

「あれー、染谷。部屋に戻ったんじゃないの。」
「何よ。」
「何よって、心配してあげてんじゃない。ほら、さっきだいぶ辛そうだったし。」

順はにやにやしながら、ゆかりに呟いた。

「辛そうって、あなたのせいでしょ。」
「知ってる。んー、でも染谷、そうして欲しかったんでしょ。いつも、わざわざ綾那がお風呂入ってて、いない時に部屋に来るんだし。」

順もゆかりも知っている。
綾那がいつも決まった時間に浴場に行く事。

「その時間に、折角綾那がいないのに、部屋に来ないのはないんじゃない、とか言ってすねてたのは、あなたでしょう。」
「あはは。まー、いーじゃない。あ、そそ。なんかね、綾那がお風呂でのぼせてさ、今部屋で寝てんのよ。その時お風呂場に夕歩が一緒にいたみたいで、まあ大事には至らなかったわけですが、あの2人怪しいよね。案外、うちらと同じことしてたかもよ。ウチの姫様もアグレッシブなところありますからね。」
「ふーん。」
「おやぁ、もしかして染谷さん、気になりますか?」
「別に。私にその話を気にして欲しいの?」
「ううん。でも、ちょっと興味あるじゃん。」
「なら聞いてみたら。」
「なんて?」
「2人付き合ってんのって。」

順は右手で投げて遊んでた、夕歩の財布を落とした。

「すごいストレートだね…仮にそうだとして、正直に答えたりしないでしょ。」
「そうかしら。夕歩なら潔く、「うん」て言いそうだし、それに、あの人ならすぐ顔に出るでしょうから。」
「じゃー、染谷聞いてみてよ。」
「なんで私なのよ。」
「気になるじゃん。実は染谷だって気になってるでしょ。」
「別に。」
「またまた。」
「……」

ゆかりが順をじとりと見つめた。
そして、すぐに顔をそむけてしまった。

「ん?もしかして、染谷さん「私が気になるのはあなただけ」とか今、思っちゃったんじゃない?」

順がニヤニヤしながら、ゆかりの肩に腕をかけて、顔を覗き込んだ。

「あれ、顔赤いよ染谷。図星だった?もー、そういうのはちゃんと言葉にして行こうよー。」
「うっさいわね!じゃあね!」

ゆかりは順の手をはねのけて部屋へと歩き出した。

「じゃ、また明日。」

順はゆかりの背中に呟いた。

(染谷も可愛いとこあるねー。)



+++
順がコーラを3つ抱えて戻ってきた時、綾那がベッドの上で体を起こして、夕歩と一緒に、数学の問題集を見て何やら話をしていた。

「順。顔がにやけてるよ。なんかいいことでもあった?」

冷えたコーラの缶を開けながら、夕歩が順に尋ねた。

「え、やっぱわかる?いやー、ちょっとね。でも、顔がにやけてるのはあたしだけじゃないけど。夕歩も綾那もなんだかニコニコしてるよ。」
「そう?」
「ごほ!!」

順と夕歩の隣で、綾那がコーラを噴き出しそうになり、むせ返った。

「大丈夫、綾那?」
「ごほっごほ…だ、大丈夫。」

(―あー、なんか決定的だわ。わざわざ口に出して聞くまでもないかな。)



それぞれにそれぞれの想いを抱えながら、夜は更けて行く。



END


順ゆか順ゆかwwまさかだよねー。
夕歩と綾那があんなことしてる間に、実はこっちでもあんな事やそんな事がっていう…


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