expectation
それは突然のことだった。
いつものように、綾那は女の子がたくさん出てくるゲームをしてた。
ゲームの中の女の子なんかじゃなくて、
あたしに構ってくれたっていいじゃない。
退屈で仕方ないから、ずっと本を読んでた。
そろそろ寝ようかなーって思って、歯を磨いて、部屋に戻ってきた時のこと。
「さてと…」
綾那はそう言ってあたしを見た。一瞬、綾那の動きが止まった。
そして、あたしに近づいてきて、
あたしの着ていたシャツのボタンをはずしはじめた。
え?
ええええええ???!!!
いきなり!!
ちょ、あたしまだ心の準備が…
って思ってたら、綾那は外したボタンを、またかけ直した。
え?
何でよ?
「ボタン掛け違えてたぞ。」
「……え?」
熱がいきなり冷めたような気がした。
「さてと、寝るか。お前もさっさと寝ろよ。」
綾那は布団の中に入ってしまった。
「ちょ、ちょっと、待ってよ!」
「うわっ、なんでお前、私の布団に入ってくるんだ!」
何?そういうことだったの?
一瞬でも期待しちゃったあたしがバカみたいじゃない。
「綾那のせいなんだから。」
「はあ?」
なんで、期待させるようなことすんのよ。
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